トム・クルーズ主演「ジャック・リーチャー/NEVER GO BACK 」を観た。映画館で見損なったので、DVDになるのを楽しみにしていた。実は飛行機の中で少し観たのだか、途中で日本に着いてしまい、歯がゆい思いをした。前作は映画のお手本のような映像と、随所に黒澤明映画を思わせる作品だった。今でも勉強のために時々観るほど好きな作品だ。今度は監督が代わって、その辺りが気になっていた。作品の内容については、観てない人もいるので控えめにし、映像制作者の目線で書いてみたい。

全体的には前作同様トム・クルーズさえカッコ良ければ、それでいい「トム・クルーズを魅せる」映画である。今回はチョットした恋愛や人情的なシーンが加わり、前作以上に「決め台詞」が多い。カッコよく見せる「決め台詞」は、主役を持ち上げる王道的な手法。「遠山の金さん」とかぶる。シリーズ小説なので、前作とテイストは同じ。ジェイソン・ボーンとは正反対。こちらはほとんど台詞が無い。

jack2.jpgEOS M5 + New FD 50mm 1.2L(f2) 映画とは関係無い

映像表現としては、特に目を惹く所は無かった。ただ回想(想像)シーンは、モノクロや早送りカットなどを使っていて、映像だけで筋を分かり易く説明している。これについては、前作のように、回想シーンは誰かが語るのとは全然違い、監督の趣味がそのまま出ている。今回は何となく庶民的な映像に感じる。

私の偏見だが、黒澤映画のにおいが全く無い。それが庶民的に感じるところだと思う。前作のクライマックスの格闘シーンは背景が大雨で動きがあった。対して今作は、折角カーニバルで外が騒がしい場所なのに、当人同士しか写っていない。背景は建物の壁。つまらん。決定的なのが、カーチェイスにも、格闘シーンにも音楽を付けている。しかも、印象にのこらない音楽。普通だ。黒澤映画を知らないのか?前作はカーチェイスではエンジン音、格闘シーンは雨の音と息遣いと殴る音だけ。緊張感が全然違う。

あまりにも普通の映画になってしまった「ジャック・リーチャー」。監督が違うと、こんなにも変わるのか。ただこれは映像制作者としての見方なので、普通に観ると面白い映画だ。奥さんも「やっぱり、トム・クルーズ、カッコいい。」と言っている。ある意味、この映画は成功している。

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