見た目に近いと言われる50mm単焦点レンズ。それはフルサイズの場合。APS-Cのカメラでは80mm(CANON)の中望遠になるので、使い難いと思っている人も多いのでは?しかし、私はスナップ撮影にEOS M5+50mm単焦点レンズが一番使い易いと思っている。よくカメラ雑誌にAPS-Cに24mmや28mmが扱い易い画角と言われているが、一体何を根拠にそう言われるのか疑問である。しかも単焦点レンズで。仮に「1本だけ単焦点レンズを選ぶとしたら。」この問いも少々おかしい。旅行に行く時に単焦点レンズ1本だけで出かける人は、どれだけいるだろう?単焦点なら、2~3本。またはズームレンズに、お気に入りの単焦点レンズを1本加えるのが平均だと私は思う。私がここに述べる「1本だけ単焦点レンズを選ぶとしたら。」は、スナップ撮影。それも、出かけたついでとか、身近な場所であることを前提に話したい。

50mmの単焦点レンズは明るいものが多い。EF 50mm F1.8 STMとか、他社製品を含めても結構ある。しかも比較的安価。前記したように80mmの中望遠になるので、EVFを覗いた瞬間「デか」と感じるかも知れないが、ひるまない。これは慣れだと思う。歩いていて気になる被写体が見つかったとして、例えば電柱(ショボイが)。まずその距離感と大きさが頭に記憶される。そして、そのままファインダーを覗くから「デか」と思ってしまう。その時、ファインダーを覗く前に、2歩バックする。すると、はじめに見た電柱の大きさのままファインダーに映し出されている。この2歩は私の場合(身長174cm)なので各自試して欲しい。

hikaku.jpgEOS M5 + New FD 50mm 1.2L(f8)右の写真は、2歩後退して撮影している。

ショーウィンドウとか、小さな被写体を撮るときは、80mm中望遠のありがたさを感じるはず。もし寄れる単焦点レンズなら尚更だ。明るいレンズはピントが浅く、ボケも大きい。主観だが、ピントが浅すぎる写真(フルサイズ一眼で撮影)は、時間をおいて見た時、なんだか面白くない。撮っている時とその後では印象が違うのだ。撮影中は感動的に感じたことが、後から見ると情報量が少なく感じる。それが、APS-Cのカメラなら被写界深度が深いので、開放でも丁度いい具合なのだ。スナップにAPS-Cがいいと思うのはここにある。旅行や近場のスナップで撮る写真は、自己満足的な技術を鑑賞するより、思い出として見ることが多い。フルサイズは印象的で、APS-Cは現実的な写りをすると自分なりに解釈している。

50-1.jpgEOS M5 + New FD 50mm 1.2L(f8)

少し離れた所を写すときは、それほど違和感は無いなず。むしろ、大きく主題を撮れることの方がありがたい。これも、歩きなが撮りたい景色(と言っても街中)に出会った時のことだが。もっと広く撮りたいと思いながら、思い通りの構図になるまで、どんどん下がって行く。いざシャッターを切ろうとした瞬間、どうでもよくなった。「広角レンズを持っていたら。」と思った経験は誰でもあるのでは?しかし、考えようでは、どうでもいいような写真を撮らずに済んだことになる。

スナップ撮影は出会い。持っているレンズと、撮りたいと思う被写体が合致した時、はじめてシャッターを切る。ズームレンズや沢山の単焦点レンズを持って、選択肢を増やすことより、限られた条件で撮れた瞬間を楽しむ。写真に納まらない風景は目で見て、心に刻む。

NANU ARTS FILMS ホームページ




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です