トム・クルーズ主演「ジャック・リーチャー/NEVER GO BACK 」は最近公開されていたが、前作の「アウトロー」について撮影者目線で書いてみたい。日本語タイトルが少しズレているのは、アクション映画の匂いを出す為に、無理やり付けたと思う。しかし、観終わってからは、アウトローなんてタイトルを忘れるくらい、「ジャック・リーチャー」な映画だ。

この映画のカメラワークは、映画のお手本と言っていいくらい王道だ。風景を状況説明的に見せる俯瞰撮影。キーワードを記憶させるクローズアップ。それぞれの演技に合わせたレンズ選び。そして、アクション映画にしては、手持ち撮影が非常に少ない。最近、これだけ計算された映画は珍しい。王道過ぎて、地味な印象を持つ人もいるはず。私の好きな映画は、カメラワークの力で、台詞を最小限にしている。この映画もその一つ。

冒頭、連続殺人が行なわれるが、その前のオープニングタイトルから、伏線が引かれている。タイトルのバックは高速道路を俯瞰で見せる。交通量からして、大きな都市だと分かる。そして、カメラは犯行現場に向かう犯人の車を追う。何回も観たから、犯人の車と分かったが、初めて観たときは、その他大勢の車としか思わなかった。また、この車が走るコースも後から重要になってくる。この映画は、こういった隠し味シーンが随所にある。

犯行現場に到着、車から降りる犯人。先ずはドアが開き、足元をクローズアップ。靴の質感が分かるくらいのマクロ撮影。ライフルを構える、トリガーをマクロ撮影。王道だ。これらクローズアップした映像には、ちゃんと意味がある。ただのオシャレな映像に終わっていない。全て、事件に関わるキーワードになっているのだ。マクロ撮影は最近の映画らしく、背景を思いっきりボカしていて、どのカットも美しい。車のキーとか、ギアとか、コインとか、こんなにカッコ良く、マクロしている映像は久々だ。カメラファンなら、この映画を観た後、マクロレンズで色々撮りたくなると思う。

jk.jpgEOS M5 + LEICA APO Macro Elmarit R 100mm

カーアクションや格闘シーン、銃撃戦にBGMが無い。普通のアクション映画なら、これ見よがしに、音楽で煽ってくるシーンに、全く音楽が無い。多分この監督は、黒澤明ファンだと思う。カーチェイスでは、エンジン音、クライマックスの格闘シーンは、激しい雨の音で緊張感とリアリティを増している。絶対、黒澤だ。

この映画のテーマは、ジャック・リーチャーそのもの。リーチャーの生き方、考え方、正義感を見せるための映画だ。言い切るストーリーなんてどうでもいい。リーチャーさえカッコ良ければトム・クルーズの映画はこのタイプが多い。スターをスターらしく見せる、往年のハリウッド映画のようだ。差し詰め日本では、「遠山の金さん」かな?

NANU ARTS FILMS ホームページ




1件のコメント

  1. The light that shines the brihstegt… well you know what I mean.The real beef for this guy is that he let the “Savior of hip hop” bullshit run unrestrained despite the fact that he’s a start up instead of humbling folks by shying away from it and just producing great material. But I guess in this climate of low sales and what have you any buzz is good.Used to be you needed to have paid some hefty dues like the vets did to hold the mantle, nowadays these kids are coming off of fucking soap operas for 12 year olds and taking over.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です