映画から学ぶ、ミュージックビデオ制作のヒント

EOSムービーに興味を持ち始めた2008年からは映画を観る視点が、以前と違ってきている。元来、録音技師・音楽家なので、音楽や声や歌、効果音など音響的な部分に興味があった。最近ではそれに加え、撮影方法やカット割りなど注意して観ている。特にどんな焦点距離のレンズを使っているのか気になっている。

正確な画角は判明できないが、広角か標準、望遠くらいは分かる。そして、それがどういう場面で効果的に使われているかを注意深く観察して観ている。自分なりに感じていることだが、それらの焦点距離の違うレンズ(50mmとか100mmとか色々)を適材適所に使われている作品は心に残ることが多い。特に、役者の心の動きを表現する方法として、計算され尽くした映画はたまらない。

例えば、バストアップや顔のアップの場合。感情的な台詞を言っている時は広角・標準(フルサイズ換算24~60mm相当)付近で撮影していると思われ、観客に直接訴えかける印象がある。また、望遠レンズで撮るアップだと、役者が話しているところを、第三者の立場で観ているように感じる。また、真実を語っていないようにも見え、「こいつは嘘をついてる」と観客に疑いを持たせるシーンや、無言で心の動きを表現するシーンにも見られる。主観だが、標準域のレンズは現実的で、望遠に近づくほど空想的というか映画的になるのではないか。

50mmや35mmレンズで撮影したものは、現実的な印像になり、近寄って撮ることで役者の肉薄した演技、特に怒りや恐怖を伝えるのに効果がある。ドキュメンタリーやインタビューにもよく使われる。例えば、写真の分野で、Summicron R 50mm Type1というライカレンズの名玉があり、このレンズは「人の内面を写しだす」などよく言われる。この画角が自然な視野に近いからだと思う。

ミュージックビデオ制作において、私のこだわりはレンズ選びにある。50mmはリアリティが増すが、使いすぎると庶民的な映像になりそうなので、要注意。広角は全体像を伝える情報手段なので、多用すると間が悪くなる。ただ、広角は寄って撮るとパンチがある映像になるので、アクセント的に有効。

映画では、役者との距離をある程度確保する必要があるので、望遠がメインになる。そして、ここぞという所で、広角や標準でググッと寄って撮っていると思う。ミュージックビデオでも同じように、焦点距離の違いによる特徴を上手く工夫すれば、映画的に撮影できるはず。また、アングルと距離感、被写界深度を工夫すれば、標準レンズ1本だけでも、ドキュメンタリータッチの映像が撮れる(そんなホラー映画もあった)。あくまで個人的考察でることをご容赦願いたい。

Summicron R 50mm Type2 だけで撮影したスライドショー。以前紹介したハンドメイド・レザーGarashaのプロモーションです。

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