ミュージックビデオの原点は「実話を元にした映画」

望遠レンズによる圧縮効果は前記事にも書いたが、具体的にミュージックビデオで、どのように使っているか説明したい。私の場合、この効果を利用することが多い。特にバンドの場合は必須になっている。4〜5人のバンドを広い敷地で撮影する場合、標準や広角レンズでは間が持たない。望遠レンズの圧縮効果は背後の人物を大きく写すので、バンドの一体感を表現できる。しかし、敷地が狭いと閉塞感がでるので、私の作るミュージックビデオは、可能な限り広い敷地を選んでいる。望遠レンズを出来るだけ使って離れた場所から撮る。これが一番映画的になると思っている。

当たり前だが、望遠レンズは三脚を使って撮るか、手持ちでも振り回さないように撮る。撮影範囲が狭くなるので、動きが激しいバンドなら、すぐにフレームから外れる。しかし、これが面白い。無理して被写体を追いかけるより、フレームから外れかけた瞬間で、カットを切り替えるようにしている。これが自然なカット割りとなっている。あまり動きのないところで、無理矢理アングル違いを持ってくると、制作者側の見栄のようなものが伝わってくる。(人のことは言えない。。)

ミュージックビデオを撮る時、大体1曲を10くらいのブロックに分けている。1ブロックづつ約10回撮影する。これはバンドの人数で変わってくる。それぞれの寄りを(望遠で)アングル違いで2回づつ撮る。次に全体が写るカットを(標準と広角で)アングル違いで、2回から3回撮影している。この作業を10ブラック分行い、最後に頭から通して2回ほど手持ちで、ドキュメンタリー的に撮影している。通算1曲で最低12回演奏していることになる。1ブロックは曲のAだけとか、Aの半分とか約30秒くらいにしている。全身全霊で演奏するため、このくらいが限界。こうして撮影するのだから最後まで、気が緩まない映像になる。膨大な編集作業になるが、今の所これが、映画に近づく方法だと思っている。

スクリーンショット 2017-02-08 15.28.43.pngEOS 6D + Elmarit R 135mm   INHALE / Dark Days より、ムービーから切り出し

撮影にかかる時間はセッティングがあるので大体、曲の長さ x 12回分 の(3倍)と休憩時間になる。5分の曲だと3時間分演奏して、合間に合計1時間の休憩を取る。また、休憩時間を利用してアーティスト写真を撮れるだけ撮るようにしている。ただ、スタジオ撮影のような撮影機材ではないので、少々ラフな写真になる。しかし、当て振りと言えども、長時間演奏していると表情がいい。マンツーマンの撮影だから、できることだと思う。

映画的に撮ることが、私のミュージックビデオ制作のごだわりだが、少々古く感じる人もいるだろう。でもいいのだ。ミュージックビデオの原点は「実話を元にした映画」これが私の考えである。映画(特に洋画)をあまり観ない若者には、伝わるか分からないが、これだけは言える。「音楽は爆発だ」岡本太郎  風。

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