動画撮影の設定でフレームレートについては以前に書いているが、今回はシャッタースピードについて書こうと思う。定番とそれなりのルールはあるが、絶対では無いので使い方で色々効果がある。

基本はフレームレートに合わせて撮ることが多い。30fpsなら1/30秒、60fpsなら1/60秒のようにEOSムービーならフレームレート設定時の最低速度にする。ただ、24fpsの場合1/30秒までになる。M5はパナやソニーと同じようにもっと遅い設定が出来る。

屋外の撮影でこれだけ遅くすると、ISO感度をいくら落としてもNDフィルターは必須になる。画質に影響するのでNDフィルターの選択は大事。可変NDフィルターは便利だが、少々画質が良くない。私の場合、その場の明るさに応じてNDフィルターを替えている。そして、微調整はシャッタースピードで対応するようにしている。NDフィルターは、ND2、ND4、ND8、ND16の4枚を組合わせて調整するが、絞りがf4〜f5.6くらいなら1枚づつで大丈夫(晴天でND16)。開放付近を使うならND2枚がけになる。(ND2+ND16)

シャッタースピードを1/60秒付近で露出が合うように、絞り値とNDフィルターを決める。こうすれば多少の変化にも対応でき、シャッタースピードを1/30秒〜1/60秒間の調整で済む。これくらいの幅は画像に影響はない。ただし、被写体が(走っていたり、回転したり)ものすごい速さで動いている場合は別。速い動きを撮影する時は、被写体がブレている方が滑らかなので、24fpsや30fpsの場合、1/30秒にして、絞りで調整した方がいい。

img_0609-sEOS 6D + Summicron R 50(TypeⅡ) f5.6  1/1000秒

シャッタースピードは上げるほど暗くなるが、画像に影響がでてくる。もし、シャッタースピードを1/1000秒にしたとしよう。被写体はカクカクした感じに見える。写真撮影時のことを想像すれば分かりやすい。1/1000秒で飛んでる鳥を撮影したとき、羽が止まっているように見える。こんな絵を1秒間に24〜30枚見ている感じになる。シャッタースピードを遅くすると、ブレた写真の連続になるので滑らかになる仕組みだ。下の動画はトンビの群れをスナップした動画。30fps、1/30秒、f11で撮影したもの。上の写真では止まって見えるトンビが、下の動画では滑らかな動きに見えると思う。

このシャッタースピードの影響を上手く利用した映画がある。スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」。第二次世界大戦を題材にした映画で、ほとんどが激戦シーン。この激戦シーン全編を、シャッタースピードをめちゃめちゃ速くして撮影したと思われる。激しい銃撃戦で打たれる兵士、戦争はこんなに惨い、戦争は人が死ぬ、そのことを観てる人の心に焼き付ける。そして、他のアメリカ本土でのシーンはごく普通の映像になる。この対比が、ものすごく効果的な映像となっている。シャッタースピードを速くすることで生まれる、独特の緊張感を体験できる映画なのだ。

時々、ロックバンドのMVでこのような効果を狙った作品を見かけるが、私はまだ撮ったことが無い。この映画を知っているだけに、格好だけではだめな気がしている。本当に必要な時まで待っている。いつかは晴天の下、激しい波が打ち寄せる海岸で、緊張感溢れるバンドを撮ってみたい。勿論、シャッタースピードはMAXで。

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